妻に相続させるという遺言書の効力は?
結婚後に、妻(夫)に一切の財産を相続するという内容の遺言を作成した後に、離婚してしまったらどうなりますか?
遺言を作成する際に、こういうご質問をいただくことがあります。
では、このような遺言が有る場合、離婚後も元妻に相続権が残るのでしょうか??
離婚後は無効になる可能性があります
このような遺言が残っている場合の解釈は、大きく二つに分かれます。
1.無効説
遺言では「妻である貴方に相続させる」と解釈出来るので、離婚した以上「妻ではない貴方に相続はできない」、つまり遺言は無効になるという説です。
2.読替説
遺言で「妻である貴方に相続させる」という文言を「貴方に遺贈させる」と読み替えることが出来るという説です。
ちなみに、判例でこのような解釈がケース倍ケースで認められるケースもあります。
実務上の解釈では・・・
以前、「妻に一切の財産を相続させる」という内容の公正証書遺言の調印の際に、遺言者から「離婚したらなかったことにするということを書かなくても良いのですか」と公証人ご質問をされたことがあります。その際の公証人の回答は、「妻であることが前提条件なので、離婚した場合は無効となる可能性が高い」というものでした。
離婚の際には財産分与を行い、別れた妻(夫)とは清算を行うということが一般的です。したがって、妻でなくなった場合はたとえこのような遺言があっても、無効と言われても仕方がありません。
もし、離婚後も「相続」から「遺贈」にしておきたいのであれば、改めて遺言を作成されることをお勧めいたします。